2016年の目標:毎月のように更新


by dozeutea

アニメミライ2013

先日、『アニメミライ2013』観てきました。
一昨年から行っているので観るのも今年で3回目。前回から制作会社もすべて変わって、印象もまた変わります。
この企画が掲げる「こういうときでしか作れないものを作る」と「TVアニメで活躍できる人材を育てる」という主流と反主流の両立しがたい要素のどちらをより優先するかという点でも作品ごとの違いが出ていたと思います(この内部矛盾はそれはそれで問題だと思いますが・・・)。

『RYO』(GONZO)
育成をかなり意識して、原画に出している課題が見ていてとてもはっきりしている感じ。アングルやカメラとキャラの距離もバリエーションを増やし、手元の細かい動作や全身が画面に収まっているなかでの芝居、歩き、走りなど基本的な動作をたくさん入れて、煙、波、CG背動にキャラを乗せて走らせる、といった大変な作画のカットも多く作っていて、なるべく動作の省略をせずに見せていく形。キャラクターも立体感を非常に重視している高岡さんのデザインなので、絵の精度も強く求められていたと思います。難度が高そうなカットが多く、完璧にこなせているようなカットはあまり多くなかったのですが、完成度の高さが優先されるべき企画ではないのでこれでいいのではないか、とも・・・。参加された方々にとってはふつうのTVシリーズなら見せ場を多く担当するような上手い方が描いてしまうようなシーンに時間をかけてチャレンジする機会を得られるというだけでも大きいと思いますし・・・。高岡さんが動きまですべて直しているようなカットもほとんどなかったので、育成を最大に重視していたのだと思います。(『ジャイアントキリング』のように高岡さんがほとんど描き直してしまえば完成度は上がったのでしょうが・・・)
それでも単純な挙動と芝居とアクションでは動きのストロークやタイミングに差を持たせていて、凝ったプランニングの作画をたくさん見ることが出来ましたし、箸回しから大勢で鍋を囲むシーンは着物の裾の動きや手元の箸遣いまで細やかさが光っていて良かったです。
この一本はシリーズの導入部分のような話だったので、ドラマや伏線のようなものがたくさん残ったままだったりだったりして、短編だと思って観ていたらちょっぴり肩すかし感はありました・・・・

『アルヴ・レズル』(ZEXCS)
当初OVA作品として発表されていたのでこの企画のためにスタートした作品ではなかったと思われます。ゴージャスで丁寧な画面で仕上がりとしては悪くないのですが、顔と手のアップのカットが非常に多く、このアニメミライならでは、という感じが無いのがつらいところ・・・・。吉原監督のエフェクト修正や振り向き時の付けPANなどはもう作品とは別の次元で成立しちゃってる感じですね。

『デスビリヤード』(マッドハウス)
独特の作品作りと育成をすごく高いレベルで両立させてしまっていてすごかった。人物の挙動や芝居を省略せずに綿密に描写していくのですが、ゆっくりとした動きを2コマでやっているカットのオンパレードなので(動作自体は単純なものでも、アングルが難しいカットばかりで軌道が複雑になっていたり)、精確な原画をたくさん描いていれていかないとちゃんとした動きにならない、ごまかしや逃げの効かないものすごくシビアな作り。レイアウトもものすごくカッチリしているので、そこでキャラを乗せて動かす難度もかなり高いと思うのですが、見事にやりきっている感じ。ビリヤードがメインになるため、メインキャラ2人には専用の手の設定が作られていて(前売特典のブックレットに掲載)、手のポーズや爪、皺などまで細かく決められていて、文字通り指先まで気を遣っている感じ。爪の色に赤みの強い色を使っていながら、手の肌の色もくすんだ色を使っているのでコントラストが強くなり過ぎずに爪の赤みが自然に見えるようにしていたのも新しかった。
バーテンダーの顔の大きさはフォルムの定形感も相まって見下ろされるときに威圧感ありました。バーテンダーや死のモチーフなんかはBLEACHに近い部分があるのも、立川監督&栗田さんのこれまでの仕事の延長になっているように見えて面白かった。監督の演出回、コンテ回は全部見ていると思うのですが、その中でもこの作品はほんとにすばらしかったです。

『リトルウィッチアカデミア』(トリガー)
今回の一番の目玉になっていたみたいですね。
原画も吉成さんに近い絵を描かれている方々ばかりなので、なんとなく方向性自体は予想が出来ていたのですが、とにかく絵が上手かった・・・・。動きのアイデアの多さも楽しい。タイミングやポーズがパターン化されているのは様式美といえばそうなのかもしれませんが、とにかくあれだけ上手ければもっとバリエーションのあるアニメートが出来そうに思えて・・・・作品自体が作画の方向性も規定している部分が大いにあると思うので、この作品では吉成さんに近い作画を目指していくのは正解なのでしょう。この作品内で完結している作画になっていることは育成の面からするとどうなのかなーという感じですが、「こういうときでしか作れないもの」という方向に寄ったということなのでしょう(もちろん育成としての部分も少なくなかったようですが)。あとクライマックスにはスーパーな方々がやってきておいしいところ全部持って行っちゃうのもどうなんでしょう(笑)
日高のり子さんのキャスティングといい、魔女=アニメーター(シャリオ=吉成さん)という構造といい、『王立宇宙軍』『トップをねらえ2!』のオマージュ感が強く、アカデミア=ガイナックス、トリガーということで、本当にトリガーらしい作品になっていると思います。


「育成!育成!」という名目ばかり先に聞いてしまう(公開方式などもありますが)ので、独立した作品として観る前にどうしてもまず「育成としてどうなのか」という目線で見てしまって、自分としてもこれじゃいけないような気もしているのですが、スタンスが難しい・・・・。
あと、名目となっている「若手が育たない」も、昨今の上手い方々が次々に出てくる状況を見ると適当ではないでしょうし、「若手を育てる時間と人手がない」という現在の状況に対して向けられる言葉の方がいいのではないかと思ったり・・・・ではどうしたらよいのか、と尋ねられてもつらいですが・・・。ここから体質改善につながるノウハウ作りまでつなげられるといいのでしょうが・・・・
[PR]
by dozeutea | 2013-03-13 22:31 | アニメ